めっき会社のM&A資料は、最初からすべて提出するのではなく、相談、候補先の絞り込み、詳細調査という段階に合わせて準備します。何があり、何が不足し、誰が管理しているかを把握することから始められます。
初回相談で伝える6項目
- 主な処理工程と顧客の業界。
- 概ねの売上規模、従業員数、後継者の状況。
- 譲渡を考える理由と希望時期。
- 雇用、工場、社名、取引継続など守りたい条件。
- 設備更新や環境対応など気になっている点。
- 情報を知っている人と、開示したくない相手。
初期段階では、社名や顧客名、浴組成を伏せた概要で整理できます。特殊工程と地域の組合せだけでも会社が推測されることがあるため、匿名資料の内容は個別に調整します。
NDA後に準備する資料の分類
| 分類 | 主な資料 | 取りまとめ担当の例 |
|---|---|---|
| 財務・税務 | 決算、月次、借入・リース、工程別採算、設備投資 | 経理・顧問税理士 |
| 顧客・契約 | 顧客別売上、基本契約、価格改定、顧客承認条件 | 営業・品質保証 |
| 設備・工程 | ライン図、台帳、保全、治具、外注工程 | 工場長・保全担当 |
| 品質 | 仕様・検査・校正、クレーム、再処理、トレーサビリティ | 品質管理・現場責任者 |
| 環境・薬品 | 届出、水質測定、SDS、PRTR、廃棄物、過去対応 | 環境・安全の担当者 |
| 人材・労務 | 人員構成、雇用条件、役割、資格、技能承継 | 総務・経営者 |
| 土地・会社 | 登記、賃貸借、株主、関連当事者取引、社内規程 | 経営者・総務 |
資料リストは進捗表として使う
資料名、対象期間、最新版の日付、保管場所、責任者、共有可否、未確認事項を1行ずつ管理します。原本がない場合は、再発行や関係者への確認が必要か、代替資料で説明できるかを整理します。未確認の数値や古い版を最新版として扱わないようにしてください。
開示段階と権限を分ける
候補先ごとにNDA、利用目的、競合性、開示の承認を確認し、必要な資料から共有します。財務概要、顧客名を加工した分析、具体的な契約や技術資料を一括公開せず、質問と判断に必要な範囲へ絞ります。従業員情報は必要性と取扱いを確認し、共有範囲を管理します。
データルームには版番号と更新日を付け、誰へどの版を開示したかを記録します。買い手からの質問、回答担当、回答根拠、未解決事項を一つの表で追跡すると、異なる説明が並ぶことを防げます。
説明しにくい事項ほど早めに整理する
顧客集中、社長への依存、設備停止、環境対応、未整備の契約などは、事実・原因・対応・残る課題を分けます。隠すために資料を減らすのではなく、情報管理を行いながら、調査と協議に必要な情報を共有することが大切です。
準備後は「条件」と「引継ぎ」へつなげる
確認結果を価格、雇用、設備投資、顧客説明、役割分担、引継ぎ期間に反映します。資料を渡して終わりにせず、成約後に誰が管理を続けるかまで整理してください。
